それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。

朝の来ないこの帝都には、すでに時間の概念など存在しないかのようだ。

「忌み子だ! 忌み子を処刑するぞ! すべては忌み子のせいだ! 忌み子さえ殺せば我々は助かるぞ―――!!」

狂気に満ちた叫びに、テフィオは混沌とした意識の闇からはっと顔をあげた。

(忌み子―――もしや、シルフィが…!?)

よろめきながら立ち上がった。

このまま死んでしまおうと目を閉じてから、眠ってしまっていたようだ。非常に寝起きが悪いテフィオだが、この時ばかりはよろめこうがなんだろうが目を覚まし立ち上がらねばならなかった。

処刑だ処刑だと、あちこちから声が上がる。その中心に向けて、テフィオは駆けた。

広場の中央に、はりつけにされた人影が見える。

間違いない。シルフィだ。

そのすぐそばに、石の海で倒れている小鳥と狼の姿も…。

皆石で打たれたのだろう、打撲跡があり、あちこち血がにじんで、見るからにぼろぼろだ。