「きゃあ―――――!! 何、何やってるのテフィオ先生!!」

教室に姿を現したシルフィの悲鳴を聞いて、テフィオの腕の力が緩んだ。

その隙にファイツは体の自由を取り戻し、駆け出していた。

その瞳から零れ落ちる涙に気が付き、シルフィもテフィオもはっとする。

ファイツは羊皮紙に殴り書きをして、そのまま教室を逃げ去った。

『お前なんか、人間なんか、大っ嫌いだ! お前が僕の両親を殺したんだ!』

「どういうこと!? なんでこんなこと―」

シルフィの視線が険しい。声も低い。どうやらかなり怒っているらしい。

知ったことかと、テフィオは苛立ちの矛先をシルフィに向けた。

「あいつを殺して、ラダメシスの秘密を手に入れる、それだけだ、構うな病原菌」

「うそ…嘘でしょう!? だってテフィオ先生は、ファイツのこと、好きでしょう!?」

テフィオは激情に任せて言った。

「そんなはずがない。ばかばかしい。あいつはただの駒だ」

「違うよ! あたしにはわかってる。テフィオ先生はファイツのことが好きだよ。だから―――」

―うるさいうるさいうるさい!

シルフィの言うことがあまりにうるさくて、テフィオは大股でシルフィに歩み寄ると、その体を教室の壁に力ずくで押し付けて黙らせた。

「黙れ!」

「きゃ」