翌日の昼前、隙を見て水筒に毒を仕込んだ。

昼食時には食堂の冷たい飲み水を飲むだろうから、彼が毒入り水筒から水を飲むのは午後だろう。

そうわかってはいたが、昼休みの間中、ファイツは気が気ではなかった。万が一、テフィオが水を飲んでしまったらと、心配で心配でならなかった。

だから午後の授業に、テフィオがいつもどおり元気な姿を見せたことで、ファイツはなぜかほっと胸を撫で下ろしていた。

しかしそれも束の間、水筒を手にテフィオが運動場の監督席についたことで、ファイツは極度の緊張状態に陥った。

テフィオの笑顔が脳裏をよぎる。

“やればできるじゃないか”。

“起きられないんだ、朝”

一緒に相談所でがんばったこと。

バリバウスのアジトに潜入して一緒に戦ったこと。

眠っているときのあどけない顔…。

テフィオが水筒に手を伸ばすのがわかった。

毒入りの水だ。一口で死に至る。

テフィオが水を、飲む――――――――。