実技授業の時、テフィオはいつも監督しながら水分を補給する。その水筒が鞄の中にいつも入っていることはわかっている。

毛皮に隠して毒を持ち込み、ちょっと目を盗んで、入れるだけだ。それで自分の今までの悔しさ、屈辱、悲しみ―すべてが報われるのだ。

殺すべきだ。

殺すべきなのだ―。

ファイツはここの所毎日、毒を毛皮に隠して教室まで持ち込んでいた。けれど、未だに作戦を実行できてはいなかった。

今日こそは。

そう思うのだが、授業を受ければシルフィの明るい様子が自分を押しとどめる。

しかしその日の実技の時、悩みすぎているせいですぐにへろへろになって火を吐けなくなったファイツを見て、テフィオが言った。

「ふう…奴隷以下だな」

ひどく冷たい響きの台詞だった。

以前は冷たくても、もう少しファイツへの何かしらの想い―叱咤激励のようなものが感じられたというのに。

それでファイツは傷つき決心した。

惑わされてはならない。

今こそ復讐を果たす時だと。