プチは(やったねシルフィ、ふたりやっつけた)と心の中で快哉を叫んだ。本人は自然体なのだろうが。
残されたバリバウスが、鬼のような形相でシルフィを睨みつけた。
「女の妖精先生など、聞いたこともない。女のような下等な生き物はせいぜい美しく装って家で大人しくしていればよい」
シルフィは、まあ、と目を見開いた。
「女性はお嫌いなのですか?」
「ああ、嫌いだとも。女は弱い、すぐに泣く、それに下等だからな」
「本当に嫌い?」
「クドイ!」
「う~んおかしいですね~。校長先生は女性がお好きなはずなのに。周囲の反対も本人の拒絶も押し切って、最近若い妻を迎えたばかりと聞きましたのに」
あまりにも痛烈な切り返しに、聞いているプチの方がひやひやする。
「…ふん、口ばかり無駄に回りよる」
「口ばかりって、口をはかるものですか? どうやってはかるのですか?」
くどいようだが言っておこう。シルフィは舌戦をしているつもりもなければ、わざととぼけているわけでもない。これで自然体なのだ。
バリバウスは話の通じぬ相手にかなりいらだった様子でシルフィの質問を無視する。
「お前、身分証を見せなさい」
「身分証は、持っていません」
「 “農民”!? なんと」
この国で身分証を持たないのは、貴族、騎士、平民の下にあたる一番低い身分“農民”だけである。
「 “騎士”以上の身分でなければ口をきくのも汚らわしい。吐き気がしおるわ」
「まあ、大丈夫ですか? あたし、どことも間を取り持ってもらわなくて大丈夫ですから、お体の方を大事になさってください?」
(うう、シルフィ、それも意味ちがうよ…口をきくって間を取り持つ方の意味にふつうとる? マニアックすぎるよシルフィ)
残されたバリバウスが、鬼のような形相でシルフィを睨みつけた。
「女の妖精先生など、聞いたこともない。女のような下等な生き物はせいぜい美しく装って家で大人しくしていればよい」
シルフィは、まあ、と目を見開いた。
「女性はお嫌いなのですか?」
「ああ、嫌いだとも。女は弱い、すぐに泣く、それに下等だからな」
「本当に嫌い?」
「クドイ!」
「う~んおかしいですね~。校長先生は女性がお好きなはずなのに。周囲の反対も本人の拒絶も押し切って、最近若い妻を迎えたばかりと聞きましたのに」
あまりにも痛烈な切り返しに、聞いているプチの方がひやひやする。
「…ふん、口ばかり無駄に回りよる」
「口ばかりって、口をはかるものですか? どうやってはかるのですか?」
くどいようだが言っておこう。シルフィは舌戦をしているつもりもなければ、わざととぼけているわけでもない。これで自然体なのだ。
バリバウスは話の通じぬ相手にかなりいらだった様子でシルフィの質問を無視する。
「お前、身分証を見せなさい」
「身分証は、持っていません」
「 “農民”!? なんと」
この国で身分証を持たないのは、貴族、騎士、平民の下にあたる一番低い身分“農民”だけである。
「 “騎士”以上の身分でなければ口をきくのも汚らわしい。吐き気がしおるわ」
「まあ、大丈夫ですか? あたし、どことも間を取り持ってもらわなくて大丈夫ですから、お体の方を大事になさってください?」
(うう、シルフィ、それも意味ちがうよ…口をきくって間を取り持つ方の意味にふつうとる? マニアックすぎるよシルフィ)

