「太陽が七日間隠れる暗陽節の日…その日までに、あたしが絆を取り戻せなければ、皆焼き尽くされてしまうの。皆を助けたい。だって、まだみんなの心にもちゃんと、絆があるって、信じてるから」

テフィオとファイツに言葉はなかった。

二人は信じがたいという表情で固まっていたが、シルフィが嘘をついているようなそぶりは全く感じられなかった。嘘をつく理由もない。

「空を飛べたら…見下ろしたい。みんなの絆を。父様や、母様や、妹たちの幸せを。幸せでいてほしいから…だから…」

二人はシルフィの背に、花びらの翼を見た気がした。

「私は望まれない、石ころだけど…」

シルフィはそっと、足元の石ころを拾い上げた。

するとその影に、小さなかたつむりがいた。

石の陰で、強い太陽光から身を守っていたのだ。

「たとえ望まれない石ころだって。
こんなにも美しい、世界の一部。
損なわれはならないもの。
絆を持ってる。絆の中にある。
大きな絆(プティ)の中に…
だから望まれない命なんて、きっとない」