絆物語～クールな教師（アイツ）と狼少女の恋～

「フン。遊び女か。そんな男のような髪では客もつくまいに」

シルフィの服の丈や髪が肩までと短いことをあてこすったバリバウスのこのセリフに、シルフィは軽く首を傾げた。

「勉強に、野菜や家畜の世話、何より絆を育てていますから、遊んでなんていません。ほんとはもう少し、森を走り回って遊びたいんですけど。お客さんはちゃんといますよ！　うちの野菜、結構評判いいんです」

シルフィは大真面目だ。

プチは、（シルフィ、きっとそういう意味じゃないよ）と思ったが、思うだけにとどめておいた。面接官たちが調子を崩され目をぱちくりする様子が少し面白かったからだ。

バリバウスが眉をひそめる。

「…頭のネジまでゆるんでるようだ」

「校長先生ともなると、頭にネジがあるんですか？」

シルフィの答えに、二人の面接官たちがそろって口をぽかんと開けた。

彼らの脳裏に「サイボーグバリバウス」が浮かび上がっているだろうことは想像に難くない。

それを掻き消そうというのか、バリバウスが大きくひとつ咳払いをした。

我に返った二人の面接官のうち一人が、厳しい表情をつくって告げる。

「本校は、優秀な人材を求めている。２０位でぎりぎり通過したような人間は―」

シャドウがぎろりと面接官を睨みつけ、牙を剥く。面接官はおおいに恐怖したようだが、ここは面接官としての誇りにかけて、なんとか台詞を継いだ。

「…求めていない」

「２０位通過はだめですか？」

「ああ」

「頭が悪い？」

「そうだとも」

「どうにもならない？」

「もちろんだ」

「バリバウス校長先生も、２０位通過で元老院にお入りになられたのに？」

これには見る間に面接官の顔色が青くなった。

バリバウスが人一人ぐらい殺せそうな目つきで彼を睨む。

「あ、いや、これは、その」面接官はもう縮こまるだけだ。

もう一人の面接官も口は災いの元と悟ったのか、視線をそらして固く口を閉ざすことにしたようだ。