シルフィはあまりの展開に気が動転した。

「ま、待って。待ってよ。…どうすればいいの? 絆を取り戻すなんて…」

「そうだな…」

アンティストがしばし思案するように視線を泳がせ、やがてシルフィの目をみつめて微笑んだ。

「妖精先生(ファンタジェル・ラキスター)を知っているか?
妖精と人間の絆をつなぐ職業だ。
お前が妖精先生になれたなら、失われし絆(プティ)を取り戻すことができるかも知れないぞ」

この時生まれて初めて、シルフィの胸に希望の光がわいた。

生きる道しるべをもらったのだ。

「…わかった! あたし、なる! ファンタジェルラキスターに。そして絆を取り戻すよ。そうしたらみんな助かるんでしょう?」

「そうだ」

「でもあたし…読み書きもできないし…」

「それは私たちがしばしここに滞在し、教えてやるよ」

「ここで一緒に…? ほんと…? あたしが忌み子でも、いやじゃないの…?」

「いやなもんか。お前はお前を誇っていい。
たくさん傷ついた分、たくさん幸せになりなさい」

「アンティスト様!」

シルフィは思わずアンティストの胸に飛び込んでいた。

アンティストはそんな彼女を、優しく抱き返してくれた。