「では、テスト結果を発表します!」

結果など聞かずともわかっているファイツは、涙をこらえるような表情でシルフィの腕の中におさまっていた。

別れの時が迫っていることが、ファイツには耐え難かったのだが、それを伝えることなどできず、ただただうつむいて涙をこらえていた。

シルフィの指が封書の封を切る。

「結果は――――」

ファイツもテフィオも、その続きを聞きたくないと思った。だが―

「80点! すごい! すごいよファイツ! やったね!」

シルフィの台詞をにわかには信じられず、テフィオとファイツは目を丸くした。

ファイツは口を思わず「うそ…」という形に動かす。

テストは紛れもなく白紙で提出したはずだ。

それなのに一体全体どうして、80点だと…?

その答えはプチがテヘヘと笑いながら打ち明けた。

『ボクだよ。ファイツくんの解答用紙を捜しだして、ボクが問題を解いて、答えを書いておいたんだ。ずるしちゃってごめんね、ファイツくん』

ファイツは体が震えだすのをおさえられなかった。

それは極度の緊張と、安堵から来るものだったが、ファイツはそんな自分に気づかないふりをした。

そして羊皮紙に殴り書きした。

『余計なことをするな! せっかくこいつらをもう見なくて済むって、せいせいしてたのに!』

素直になれないファイツの本心を、テフィオは見破ることができず、かちんときた。

「ああ、ああ、俺もそのことについてだけは残念だよ。こんな落ちこぼれ生徒の面倒を、これからも見なきゃいけないなんてな!」

この発言に今度はファイツがかちんときてしまった。

『お前だって落ちこぼれのくせに。木剣を使ってるのは、気剣が使えないからじゃないのか? もっといい剣が使えたらいいのにな!』

「お前……っ!!」

テフィオが本気で怒り、ファイツの胸ぐらをつかまえてその体を持ち上げた時、シルフィが二人の間に割って入った。