「もう…寝ぼけてこんなことするなんて…ばか」

シルフィはそう毒づくと、やけっぱちで自分もテフィオの横に横たわった。

そうして至近距離から、テフィオの寝顔を眺めるうち、いつのまにかシルフィまで眠ってしまった。

光降り注ぐ、穏やかな風景。

一部始終を眺めていたファイツは、思った。

キライだ…と。

きっと、嫌いなのは美しいからだ。優しいからだ。

思い出してしまうのだ。

両親と手をつなぎ見た景色を。

どうしても、二人に両親を重ねてしまうのだ…。

人間に両親を重ねるなんて、自分はなんてばかなのだろう。

それなのに、今、ファイツは無性にしゃべりたかった。

二人に何か言いたかった。

二人の間にきっと何かが…何かがあると思った。

―しゃべりたい!

何をしゃべりたいのかなどわからない。

そう思いながら、ファイツはその場を去れずに、ただじっと、二人を見つめ続けるのだった…。



その午後シルフィとテフィオは、一緒に寝坊をした。