涙をこらえながらみつめるファイツに気づかずに、シルフィはテフィオをみつめ続ける。

シルフィは彼の寝顔を見つめながら、抑えきれない想いを感じていた。

最初は、ただ、想いが育っていくのが嬉しくて…

ただそれだけでよかった。それなのに、今は切ないほどにこう思う。

失いたくない、失いたくないと…。

怖いほどに想いが膨らんでいることを知る。

これも絆(プティ)なら、こんな想いは初めて知る。

―私は本当は、絆について何も知らないのかも知れない…。

不意にテフィオがぼんやりと目を開けて、シルフィを見た。

シルフィはどきっとして、「あ、あの、その…」と口ごもったが、テフィオは静かにシルフィを見つめ続けている。

そして何を思ったか、両手でシルフィを抱き寄せた。

「ちょっ…テフィオ先生!?」

「…………」

テフィオを何も言わない。ただその瞳は少し潤んでいて、はっとするほど美しい。

シルフィがそれに見とれていると、テフィオは不意打ちでシルフィの唇に軽くキスをした。

優しい口づけだった。

愛情があふれ出るような…。

シルフィは真っ赤になって慌てたが、テフィオは何事もなかったかのように目を閉じ、再び寝息を立てはじめた。