ついに抜き打ちテストが始まってしまった。

いつものぼろ教室ではなく、他クラスの教室で、他クラスの教師たちに監視されながらのテストであるから、ズルはできない。

一問目を見た瞬間に、ファイツにはわかった。

これが、テフィオたちの言っていた、難問ペーパーであると。

バリバウスのいやらしい笑顔が目に浮かぶ。

ファイツはペンを持ち、必死で頭を働かせる。

この問題を解けなければ、シルフィとテフィオの二人はやめさせられ、自分は退学になってしまうという。

そんなもの、なればいいではないか。

なのになぜ今、自分はこんなに焦っているのだろう?

奴隷になるのは怖くない。妖精ならばいずれ直面せねばならない現実だからだ。

ならば…二人が自分の前からいなくなるのが、辛いのだろうか。

―まさか!

解答用紙は空白のまま、時間だけがどんどんと過ぎていく。

他の生徒たちがするすると問題を解いているのが音でわかる。

問題を改めて見てみても…わからない。

(どうしよう…!!)