ラダメシスをシルフィが使えるなど、にわかには信じがたい。

だが興味深く、ファイツは二人の近くの木陰に移動して、二人をみつめた。

シルフィがゆっくりと手を空にかざす。

群青色からピンクへと、目も綾にグラデーションのかかる空に。

丁度その時…。

山際から一日の最初の光が昇ってきた。

一筋の光となり、シルフィの手に重なり、宿る。

まるで一振りの美しい剣のように。

シルフィは朝日をその手に宿しながら、厳かに告げた。

「これが最強の剣。
どんな闇も切り裂いてくれる。
人の心まで照らす刃…」

「な………」

テフィオががっくりと脱力し、肩を落とすのがわかった。

ファイツも脱力した。

シルフィの言うことを額面通りに受け取ったのがばかだった。

けれど一瞬。

寒気がしたのも事実だった。

朝日こそがラダメシスだと、信じさせられそうなほど、シルフィの声音が厳かだったのだ。

そして、きれいだと思ってしまった。

その光を。剣を。

きれいだと。