「次、シルフィ・レピエンス。シルフィ、入りなさい」

面接室に、大きな窓から日差しが差し込む。それは金色の壁や床、調度品をよりいっそうまばゆい黄金に輝かせている。

金に煙る部屋の中、金の長机の前にいかめしい三人の壮年の男が座し、向かい合わせに椅子がひとつ置かれている。

「シルフィ」

男―面接官の一人が朗々と声を張り上げるも、応えはない。

「……いない? まさか」

両端に座る二人の面接官は顔を見合わせ、今度は二人で苛立ったように声を上げる。

「シルフィ!」

すると―

「は――――――――――い!!」

元気いっぱいの返事と共に巨大な影が面接室へと突進してきた。

漆黒の狼と、それにくわえられた鳥、その背にまたがった少女だ。

「シルフィ・レピエンスです」

少女は軽やかに名乗ると、狼の背から降りた。

「な、ななななな…」

面接官のうち二人は、まるで死にかけた魚のように目を剥いて、口をぱくぱくさせている。

「ななななんだねキミ! 動物、あっちへいけ、シッシッ!」

泡を食って立ち上がり、面接官はシャドウとプチを追い出そうとしたが、シャドウの方はすでに椅子のそばで丸まり動きそうもない。

プチはといえば少しでも面接官の心証をよくしようと愛想よく彼らの机に飛んでいく。
ぺこりと挨拶をしたが、その角度がいけなかったらしく、面接官の一人の手にくちばしが突き刺さってしまった。

むろん、かえって心証は悪くなった。

またしてもプチのドジだ。「あっちへ行け!」と払われたので仕方なく、退室する―ことはなく、シルフィの肩の上にすっぽり収まった。