その日の昼休み、シルフィはテフィオの宿舎めざして走っていた。

彼の宿舎に行くなど初めてのことだ。

けれど彼女が手にしてしまった情報の大きさを思えば、多分大したことではない。

宿舎の並ぶ豪華な道を駆け回り、やっと彼の宿舎をみつけた。

青空に映えるひときわ大きく立派な二階建ての建物が、どうやらそうらしい。

テフィオリウスの表札を確認し、立派な金のドアをノックする。

「テフィオ先生! いる!? 大変だよ!」

どんどんと遠慮なくドアを叩き続けていると、ほどなくして非常に不機嫌そうなテフィオが家の中から現れた。

「こんなところまでやってくるな病原菌」

「そんなことより大変なんだってば! これを見て!」

シルフィがテフィオに渡したのは、先ほど偶然廊下で他クラスの教師が落とした紙だった。

なんのことはない、教師への連絡事項を知らせるものなのだが…。

大変なのはその内容だった。

それを一読すると、テフィオは目を瞠った。

「 “全クラス抜き打ちテスト”が明日行われる…だと?」

「どうしてこの紙、私たちにはまわってこなかったんだろう?」

シルフィのもっともな問いに、テフィオは舌打ちした。

「決まっている。バリバウスだ。奴め、本気で俺たちをつぶす気だ。だからわざとこんな大事な情報を俺たちにだけまわさなかったんだ」

「ど、どういうこと?」