アップル・マーマレード









       ***






「泉くん!今日、一緒に遊ぼうよ」



思い出されたのは小学生の頃の教室。




そんな一際高い声が響いた。


私はその声に反応して、思わず顔を上げる。





「ごめん、俺、大和と約束あるから」



放課後、わいわいとクラスメートが教室を後にする中、
イズミがさらっとその誘いを断った。



「えーッ、いつも泉くん大和ちゃんと遊ぶじゃない!」


「そうだよ!」


不満そうに少し離れた私をにらむ、彼女たち。



私は恐くなって、思わず服の裾を握りしめた。


だけど本当は、イズミが断ってくれたことが嬉しかった。



「ごめんね」


イズミがそう言って笑うと、たちまち誰も何も言えなくなる。