「夏樹、カノジョ作らなかったんだよ〜」 結局そうなるのか。 『ぎゅってしてくれる彼女見つけて、大学生活エンジョイしますから』 あの日のどや顔を、あたしが簡単に忘れられるなんて思ってんのかな、ばかみたい。 「できなかったパターンてことにしとこう」 あたしの呆れた声に、サクラは笑ながら頷いた。 「くるみはほんと、夏樹大好きだよねー」 大好きだと自覚しても、失うのが怖くて伝えられなかった。 すきですくらい、 たった四文字くらい、 言えば良かったなんて、いまさら。 ****