**** 32ー26 ビーっとブザー音がなり、試合終了。 と同時に、夏樹くんが体育館に大の字になった。 「くそっ」 呟いたのは珍しく荒れた言葉。 試合前に「持っといて」と渡されたタオルを顔の上にかけてやる。 「ごりんじゅーう」 「笑えないし」 すぐに痛い返し。 意外と落ち込んでいるらしい。 「かっこよかったよ」 沈黙を破ったのはあたしで、その言葉に嘘は何一つなかった。 夏樹くんが、立ち上がって首の汗をぬぐった。 「ねぇ、お願いがあるんだけど」