「こくるわけないじゃん」 「なんで?」 夏樹くんは、何秒か沈黙したあとに、言った。 「世界はひとつだけど、重なることはないから、だから」 そこで一回切る。 「だから僕は、もう二度と日和ちゃんには会えないから」 夏樹くんがひとことずつ噛み締めるようにいった言葉に、痛みを感じた。 夏樹くんの考え方はとても綺麗で、あたしはそれが好きだった。 ****