何回告白されてもこうやって断る理由を、あたしは薄々だけど感づいていた。 「日和にチョコもらえた?」 そう聞いた瞬間、夏樹くんが固まる。 ビンゴ、かな。 「……もらえた」 「良かったじゃん」 日和は、アメリカから1年だけ帰ってきた帰国子女で、来月にはまたアメリカに戻ることが決まっている。 「こくらないの?」 鞄に教科書を入れながら、なんともないふうに聞いた。 夕方の冷気が窓に吹き付けているけど、暖房のきいた教室のなかはあったかい。