「君!バド部入るの?」
「えっ!」

部活を見ていた私に話しかけて来たのは
先輩の男の人だった。

「えっ、いやっ」

悠はおどおどしていると、
1人の女の人が来た。

「何困らせてるの智樹!」
「そ、そういうつもりじゃなかったんだけどなぁ〜。」

“智樹”と呼ばれる人は焦った。

「す、すいません!」

悠はそれをみてとっさに謝った。

「いいのよいいのよ!ごめんね!こっちこそ!」

女の人は笑顔で悠を見た。

「はい…」

「私は七瀬 乙(ななせ おと)よ!」

おと…
珍しい名前だなぁ!

「バド部入る気あったりする?」
「んー。考えてます。」
「うん!是非、入部してね!」
「はい!その時はお願いします!」
「名前はなんて言うの?」
「津野矢 悠です!」
「悠ちゃんね!覚えたっ!」

乙はルンルンしていた。

「あ!そういや、バド部にも1年生いるよ!知ってる?」
「えっ、わ、わからないです。」

1年生…?
みんな先輩に見えるんだけど…

「悠ちゃん何組?」
「えっ、1組です!」
「確か、あの子も1組って言ってたよ」

私と同じクラス?
誰だろう…。

「あの子だよ!」

乙はその人の方向をみて指を指した。

「………っ」

その先を見た瞬間にはっとなった。

「え?悠ちゃん知ってるの?」
「……知らないです」
「そっかぁ、多分同じクラスだよ!」

「じゃ、今日は帰ります!」
「また来てね〜!」
「はいっ!」

“多分同じクラスだよ!”

気づかなかった。
本当に同じクラスだったのかな?

私の逃がしたくない人。