「な、つき……?」
怖い。
なにか、悪い予感がする。
分かっている。
本当はその予感がなにか、分かっている。
だけど、言えない。
言いたくない。
でも、でも………。
「お姉ちゃん、大好きだよ。だから、」
夏希があたしに笑いかけた後、手すりに足をかけた。
「なっ」
夏希、待って。
待って、お願いだから。
でも、声が、出ない。
怖くて、声が、言葉が。
どうしよう。止めないと。
でも、でも、声が、出てくれない。
必死に手を伸ばすが、夏希には届かない。
怖くて腰が抜け、その場に座り込んでしまった。
だから余計に、届かない。
ダメ。
夏希が手すりの上に立った。
止めて。
ダメだよ、夏希。
少し風が強くなる。
夏希の身体が、ワンピースの裾が、揺れる。


