午前3時、先生のカオ。






 夏希の考えていることが、全く読めない。


「お姉ちゃんも、本当のあたしのこと、なんにも知らないよ」


「……どういうこと?」



 夏希は固まったように夏希を見つめるあたしをよそに、再びあたしに背を向ける。

 そして、ベランダの手すりに凭れながら外の風を気持ちよさそうに受けていた。


 あたしもゆっくりと立ち上がり、夏希に近づく。

 だけどそれに気付いたのか夏希が振り返り、「来ないで」と言った。


 あたしはその言葉で足を止める。



 夏希はそんなあたしを確認した後、また元の体勢に戻り、遠くを見つめながら、

「あたしね、お姉ちゃんが誰よりも好き。お姉ちゃんのためならなんだってできる。……だからね、」



 ドクンッ


 胸が嫌な予感を感じとり、大きな音を立てる。



 止めて。

 それ以上、言わないで。


 心が必死に叫ぶ。



「お姉ちゃんが死んでほしいって言うなら、死ぬよ」


 夏希は、はっきりとした声でそう言った。



 思ってもいなかった言葉?

 いや、本当はなんとなく感じ取っていた言葉。


 だからこそ、聞きたくなかった。

 それは、少しずれているのかもしれないけど、とても優しいあたしへの〝愛〟だから。




 夏希の髪が風になびく。

 その時、何故かあたしの背中がブルッと震えたんだ。