玲汰先生の驚いたような声が聴こえる。
きっといきなり来たあたしに困惑してるんだろう。
だけど、それでももう、抑えきれない思いが溢れていく。
「夏希が、夏希がっ……」
泣きながら玲汰先生に訴える。
玲汰先生はなにかに勘付いたのか、あたしを軽く抱きしめた。
「……分かったから、とりあえず座れ」
玲汰先生はそう言うと、あたしを抱きしめている腕を離し、泣きじゃくるあたしの背中を擦りながらソファへと誘う。
あたしは玲汰先生の言うとおり、ソファに座った。
肩を揺らしながら泣くあたしに、玲汰先生はティッシュを渡した。
あたしはそれを受け取ったけど、それだけだった。
玲汰先生に、なのかは分からないけれど泣きながら話す。
「夏希がね、夏希が……」
「うん、それは分かったから。で、どうしたんだよ?」
玲汰先生はあたしの隣にゆっくりと座った。
「ゆ、めに出てきたの……」
「夢?」
「うん……あたしのこと、恨んでた」
『最低。』
『死んで。』
『謝って。』
『苦しんで。』
『消えて。』
夢の中だったとしても、あれはきっと夏希の本心なんだと思う。


