そうだ、これは夢だ。
夏希があたしの前に姿を現すことなんてないんだから。
分かっているのに、妙にリアルな夢はあたしを苦しめていく。
「夏希……」
涙が零れる。
顔はもう、涙で濡れていた。
きっと、夢を見ながら泣いていたんだ。
窓は開けっ放しになっていたみたいで、外の冷たい空気があたしを冷やした。
外は真っ暗。
時計の針は午後11時を指していた。
「れいた、せんせっ……」
怖い。
なにが、なんて分かってる。
あれはきっと、夏希の気持ちだ。
あたしがしたことは、最低なことなんだ。
知ってる、だからいつも苦しんでいる。
だけど、きっとそんなんじゃ許されない。
死ねば、許してもらえるかな?
〝あの日〟からあたしは、夏希に許してもらえることばかり考えている。
夏希に会えないのに。
もう二度と会えないのに。
それが分かっているからこそ、余計にそう思ってしまう。


