「分かってます……」
そう言いながら、まだ涙で濡れている瞳で思い切り睨んでやった。
玲汰先生はそんなあたしに、もっと酷い言葉を降り掛ける。
「鍵を渡す条件な、俺に……」
そこまで言ってほんの少し間を空けた後、
「寄るな、来るな、近づくな………分かった?」
「最低だ……」
ここまで言われると、この鍵を返してしまいたくなる。
玲汰先生に寄らない、近づかない。そんなのこの家に来る限り無理に決まっているだろう。
というか、合鍵渡したのに「来るな」はないだろう。
きっと玲汰先生は、家にあたしが通っていてもいいけど、あたしと玲汰先生の関係が変わることはないと言いたいんだろう。
つまりあの三つの条件は、心の方なんだろう。
……いや、それにしても酷いでしょ。
「もう、寝てきます……」
玲汰先生の心の冷たさに失望したあたしは、疲れ切ってしまってふら~っと立ち上がった。
「あっ、毛布だけちょうだい。寝室の入り口に置いてあると思うから」
玲汰先生は、そう言いながらまた、キッチンの方へ消えて行ってしまった。
あたしは玲汰先生が言った通り、寝室の入り口にぐちゃっと置かれている毛布を手に取ると、それをソファの上に置いて寝室に入って行った。


