そんな先生が、腕を組んで怒った顔して立っていた。

 その目は、あたしを睨んでいる。


 あたしはゾッとした。



 先生のそんな顔、見たことない。


 だって、あたしの記憶の中の先生はいつも笑っていて。

 何されても、困った顔しながらでも笑ってたのに。


 え、そんなに警察に生徒がいていたらダメなの?


 いや、いていちゃダメなのは分かってるけど。

 先生のことだから、てっきり、笑うんだと思ってた。



「……林田(はやしだ)、帰るぞ」


 先生はそう言って、あたしの所まで来た。



「……え、あ、はい」

 ついそう言っちゃったけど本当は、


 た、タイム!

 と、言いたい。



 だって、理解できないんだもん。



 この先生は誰か聞きたいよ……。


 もしかして、先生の双子だったり……?



 うーん……。




 なんて思ってる間に、先生はあたしの腕を掴んでいた。



「ふぉっ!?」


 あたしは驚いて、一歩下がってしまう。