「ごめんなさーい」
あたしは先生に、棒読み感満載でそう言った。
「でもさ、別にそのままのキャラでもいいんじゃない?」
ふと、そう思った。
だって、キャラを作るってエライし。
あたしも、そういうところがある。
だから、分かる。
無理してキャラを作るより、ありのままでいた方がずっと楽だろうって。
「はあ?お前、バカなの?」
先生はそんなあたしの小さな気遣いを、尽く壊していく。
なんでそういうことしか言えないんだろうと怒りを覚えつつも、いつものキャラでは普通に人の気持ちを読み取れることに疑問が浮かぶ。
「お前も、俺の本性知った時驚いたじゃん。それと同じだよ。人は、自分から見える相手を相手の性格と決めつける。それが合ってるのって、本当はほとんどないのに。」
そう言った先生の顔は、何処か悲しげだった。
あたしは何も言えなくて、ていうよりも先生の話が聞きたくて、黙って先生を見つめる。
「だから、人は初めて見せられる相手の本性を嘘だと思って拒否する。分かるだろ?もうキャラを作った以上、変えらんねーの。そうやって変な目で見られる方が面倒臭い。」
「……違うでしょ」
あたしは小さく呟いた。
あたしも、先生の言うとおりだと思う。
だってあたしも、本当の先生を知った時はびっくりして嘘だと思ったから。
だけど、違うと思う。
先生は、いくつか間違っている。


