午前3時、先生のカオ。







 先生に対して失礼かなと思うけれど、素直にそう思ったんだ。



「先生、頭打っちゃったんですね」


「はっ?」



 先生は不思議そうに眉をしかめた。

 あたしはそんなこと気にもせず、話し続ける。


「それで表の顔に変わっちゃったんですか」


「え、お前何言ってんの」


「いや、あたしはそれが先生だと思ってるんでいいんですよ?いいんですけど……やっぱり自分じゃないとエライじゃないですか。偽りの自分って。だから直さないと」


「………バカか」



 スッと、冷たい風があたしと先生の間に流れて行った。

 それと同時に、あたしの心に大きな釘が刺さった。




「ば、か……?」


 また、あたしは固まってしまう。


 少しだけだけど、心配して気を利かした言葉を掛けたつもりだったのに、〝バカ〟なんていう、人を蔑む言葉を返すなんて。

 ああ、これが本当の宮城玲汰だ。


 もしかして、またからかってたのか?



 そう思うと、一気に怒りの火山がグツグツと煮始めた。


「ま、たっ…からかって!」


 あたしは目の前にいる人が教師だなんてこと気にもせず、食いかかる。

 しかし、あたしが詰め寄った分、彼は離れて面倒臭そうに言い放つのだ。


「バカにバカといって何が悪い」