先生に対して失礼かなと思うけれど、素直にそう思ったんだ。
「先生、頭打っちゃったんですね」
「はっ?」
先生は不思議そうに眉をしかめた。
あたしはそんなこと気にもせず、話し続ける。
「それで表の顔に変わっちゃったんですか」
「え、お前何言ってんの」
「いや、あたしはそれが先生だと思ってるんでいいんですよ?いいんですけど……やっぱり自分じゃないとエライじゃないですか。偽りの自分って。だから直さないと」
「………バカか」
スッと、冷たい風があたしと先生の間に流れて行った。
それと同時に、あたしの心に大きな釘が刺さった。
「ば、か……?」
また、あたしは固まってしまう。
少しだけだけど、心配して気を利かした言葉を掛けたつもりだったのに、〝バカ〟なんていう、人を蔑む言葉を返すなんて。
ああ、これが本当の宮城玲汰だ。
もしかして、またからかってたのか?
そう思うと、一気に怒りの火山がグツグツと煮始めた。
「ま、たっ…からかって!」
あたしは目の前にいる人が教師だなんてこと気にもせず、食いかかる。
しかし、あたしが詰め寄った分、彼は離れて面倒臭そうに言い放つのだ。
「バカにバカといって何が悪い」


