「えっ」
そんな小さな声を出すのが精一杯なくらい、突然の出来事だった。
伸ばした手が、ぐいっと突然伸びてきた大きなゴツゴツとした手に引っ張られて、あっという間に、あたしはバランスを崩してしまった。
「むふっ」
すると、顔が平たいものにぶつかるように押し付けられ、一瞬にして身動きがとれない状況になった。
つまり、先生に抱きしめられている……ということ。
あたしの頭は先生にがっちりホールドされているし、背中も、もう片方の手で動けないようにされている。
「あ、え、ちょ……」
あたしは慌てて、先生の胸をトントン叩く。
すると、
「うぅーん……すぅ」
先生、寝たよね……?
一瞬起きかけたけど、寝たよね?
あたしは、叩いていた手を止めた。
………どうしよう。
この状態はちょっとヤバいし、離れたいけど……。
そっと、先生の胸に顔を乗せたままの状態で、彼の顔を覗き見た。
相変わらず綺麗な寝顔………なんて。
これは、無理っぽいなぁ。


