あたしの中に、ある〝思い〟が現れた。







 今まで逃げていたことがあった。

 本当は、気づいていたのに。


 それからこれ以上逃げないために、あたしは。





 両親と話し合わなければならない。

 そんな気が、した。



 あたしの心の中でずっと渦巻いている、夏希のこと。

 両親とはそのことでずっとごちゃごちゃしているし、あたしの中で決着をつけたいと思ったんだ。





 あたしは、逃げている。

 知らないフリを突き通していたけれど、本当は分かっていた。



 あたしは自分を責めることで、夏希の死から逃げている。


 自分がしたことを受け入れ、夏希の死に向き合っているのならいい。

 でもあたしは、夏希の死にきちんと向き合ったことは、ない。


 怖くて。怖くて。




 夏希の夢を見た、あの日。

 優しい夏希を見て、逃げられないと思ったんだ。



 あたしは、最低だ。

 でも、最低な人間だって思うことだけで済ませてはいけないのではないだろうか。


 きちんと夏希の死と向き合うことが、あたしが夏希にできる弔いではないだろうか。