今日もいつも通り学校から帰って来たあたしは、鞄を机の上に置き、ため息を吐いた。
今日も、いつも通り。
知らないフリをすれば、何も感じなければ、慌ただしく過ぎるこんな一日は、簡単に終わりを迎える。
だから、たまに夏希のことを思い出して悲しくなることはあるけど、独りでも我慢くらいはできている。
だから別に、玲汰先生なんて……要らない。
「はぁ……」
またため息を一つ吐くとあたしは鞄のチャックを開いた。
その時、ぐちゃぐちゃに物が入っているからか鞄から何かが落ちる。
ーチャリンッ
「んっ?」
あたしは床を見る。
そこには、キーケースが落ちていた。
キーケースからはピンク色のクマが顔を覗かせていた。
「……これ」
キーケースを拾い上げるとあたしは、キーケースを開けて中を見る。
中には、うちの家は夏希が死んだあの日から両親が早く帰ってくるため使うことがなかったため気付かなかった、〝あるもの〟が入っていた。