先生に、抱きしめられてしまった。
あまりに突然のことで、驚いてしまう。
だって、まさか抱きしめられるなんて思ってもいなかったから。
でも、先生の温もりに、
何故か、もういいんだよって言われた気がした。
全てを、許されたような感覚。
今まで溜まっていた、
悲しみが、苦しみが、想いが、
涙となって、一気に溢れ出す。
あの日、あの時、あたしは大切なものを失った。
あの日、あの時、あたしのせいで、失ってしまった。
写真に映る笑顔が、あたしを苦しめた。
いつだって、いつだって。
「夏希(なつき)……っ」
あたしは、先生の胸に顔を押し付けてぐっと唇を噛んだ。
あの日からずっと、
みんなの視線が、怖くて、怖くて仕方なかった。
泣きじゃくる母と、あたしを叩いた父。
二人から向けられるその目が、あたしをどうしようもなく苦しめた。
『お前は要らない』
『お前が殺したんだ』
『最低』
その言葉を、あたしは忘れられない。
何度も謝った。
でも、貴方は戻っては来なかった。


