「え?あ、本当だ……」
玲汰先生は机に置いてある夕飯に気付きそう言うと、寝室にいつものように着替えに行った。
玲汰先生を待っている間、あたしはずっと緊張していた。
作り笑いには、どうやら気づかれていないみたいだ。
さっきまでの笑顔が一瞬にして消え、今日どうやって伝えるかだけを考えていた。
「……ねえ、美味しい?」
「うん」
「本当の本当に?」
「うん」
「にしては全然こっち見ないじゃん。しかも無表情だし」
「元々だよ、この顔は」
「えーっ、いつも笑ってるじゃん。気持ち悪いくらいに」
「それ、学校だからだろ?ってか気持ち悪いってなんだよ」
ご飯を食べながら、いつもと同じような会話をする。
最初、あたしがいたことに戸惑っていた玲汰先生も、相変わらずの無表情で箸を進めていた。
あたしもいつもと変わらない笑顔で喋っているが、脈は速まっていくばかり。
「あっ、これって最近出てきた芸人じゃん」
あたしがテレビに出てきたお笑い芸人を見てそう口にした時、
「で?なに話に来たんだよ」


