あの噂が流れてから、一週間が経った。
あの日から、一度も玲汰先生の家に行っていない。
噂はまだ、流れている。
一昨日開かれた学年集会で噂が嘘だと学年主任が言ってから、あたしの味方になってくれる人も現れた。
だけどやっぱりまだ、ほとんどの人に関係性を疑われているままだ。
まあ、仕方ないだろう。
放課後、そんなことを思いながら玲汰先生の家へと向かって歩く。
あたしの手はスーパーの買い物袋でうまっていた。
今日で、最後にする。
一週間かけてやっとついた決意を胸に、ただ前だけを見て歩いた。
玲汰先生の家に着くと、合鍵を使って中に入る。
まだ玲汰先生は帰ってないみたいだった。
家に入るとすぐさまキッチンへ行き、夕飯の準備をし出す。
「もう、ここに来ることはないのかぁ……」
少しの間だったけど、毎日のように通っていたここは、何処よりも落ち着く場所だった。
だから、色々思い入れがあって。
玲汰先生の匂いが染み付いたここに来るのも最後だと思うと、少し悲しくなる。


