もはやあたしの耳に、二人の会話は入ってこなかった。
二人の話を勝手に盗み聞きしておいてどうかとは思うが、今はこの噂を知った衝撃のほうが大きくて。
この噂が本当なのか、美和に聞きたい。
もし嘘なら、こんな噂消したい。
美和にまで、迷惑を掛けたくないから。
なにはともあれ、本人に確かめなくては。
あたしはその一心で、立ち上がってドアを開けた。
「あっ、千夏ちゃん……」
「……えっと、き、聞いてた?」
二人はあたしを見てバツの悪そうな顔をしながら聞いてきた。
あたしは二人に微笑むと、トイレから走って出て行く。
もちろん行き先は、美和のところ。
教室に着いた時、美和は帰りの用意をしていた。


