午前3時、先生のカオ。









 あたしから、大切なものを惜しげもなくむしり取っていく。


 どうして、あたしはこんなにも恵まれていないのだろう。



 でも、受け入れるしかないのだ。




「だけど、今だけはっ……」


 今だけ、泣いてもいいですか?


 泣いたらちゃんと、受け入れるから。

 今だけ。

 今だけ、現実から目を背けさせて……。





「っ……ぁぅ……ヒック」




 泣いて、泣いて、泣いた。


 授業の始まりのチャイムも、終わりのチャイムも聴いた。

 それでも、泣いていた。




 そんなあたしが泣き止めたのは、トイレのドアを開く音が聞こえたからだった。

 もう授業も終わったのだ。

 人が来るのも普通のことだろう。




「ねえ、結局千夏ちゃん来なかったねぇ」


「いや、当たり前でしょ。だって理科だもん」


 その声から、クラスの女子だと分かった。

 噂をされるだけでも怖かったけど、あたしは息を潜めながら二人の会話に耳を傾ける。