校長室のドアが閉まり、あたしと玲汰先生はドアに凭れかかった。
「……なんとかセーフっ」
とか言いながら柄にもなく笑う玲汰先生は、もしかしたら学校のキャラのままなのかもしれない。
あたしは俯いて黙ったまま。
「っていうか、おじさんは酷いだろ。まだ、26だぜ」
玲汰先生がいつになく必死に話しかけてくるが、それもスルー。
「……玲汰先生らしくないよ」
やっと出た言葉は、それだった。
その言葉を聞いた玲汰先生は少しの間を空けて、
「……どうすんだよ、お前。俺はいいけど、お前は色々とあるだろ。ほら、みんなの……」
「分かってる」
あたしは玲汰先生の言葉を最後まで聞かずにそう言うと、ドアに凭れている背中を起こして歩き出そうとする。
「なにを分かってるんだよ」
玲汰先生はそう言いながらあたし同様背中を起こすが、あたしは玲汰先生の問いかけには答えず、そのまま歩いて行った。


