それからあたし達は、ほとんど寝ずに朝を迎えた。


 あたしは一旦家に帰り、制服に着替えて学校へと向かう。

 だからか、学校に着いたのは遅刻ギリギリの時間だった。




「はぁ……眠い」

 そう、今日何度目か分からないセリフを呟きながら下駄箱で靴を履きかえる。





「……ねえ、あれ」


「ああ、だよね……そんな風には見えないのにねぇ」


「そういうもんなんだよ、きっと」


 この会話を聞くのも、今日何度目か分からない。


 今朝、校門を通った時点で、なにか可笑しいなとは思っていた。

 じろじろ見られるし、あたしを見ながらこそこそ話されるし。


 なにかの勘違い……とは思えないほど酷くて。


 なにかしたっけなぁ?

 少し不思議に思いながら廊下を歩きはじめると。



「あれ……?」


 何故か下駄箱前の壁にある掲示板のところに、今まで見たことがないくらいの人だかりが。

 気になってあたしもそこに近づく。


 すると、掲示板の前の人だかりの中にいる誰かがあたしに気付いた。



「あっ……」


 彼はそう声を出すと、掲示板の前から退く。

 他の人たちも彼の行動であたしの存在に気付いて次々と退いて行き、道が出来た。