初めて知った、玲汰先生の過去。
初めて言った、あたしの過去。
やっと分かった。
あの日、あの時の玲汰先生の言葉。顔。思い。
あの日見た、写真の彼女のこと。
そして、夜に見せる玲汰先生のカオのことも。
不思議だったことの全てが繋がって、よく見る流行りのパズルゲームのように、綺麗に消えていく。
あたしの心も、ほんの少しだけ軽くなった。
だけど、変わらない。
あたしが夏希にしたことも。
玲汰先生が写真の彼女から受けたことも。
現実は、何にも変わっていない。
打ち明けても変わらなかった。
あたしの立場や過去は、何一つ変わらなかった。
改めて思い知らされた現実に、あたしの心は
悲しくて切ない気持ちでいっぱいになる。
そして、玲汰先生に起きたことを全て知っても変わらない、消えてくれないことがもう一つ。
あたしの、このモヤモヤしてむず痒い気持ちの理由だけが、分からなかった。