「あたしと玲汰先生は、正反対なんだね」


「……どういうことだ?」




 玲汰先生の話を聞いて、分かったことがある。


「あたしから言えば、玲汰先生は夏希のようだもん」


「……確かに。でもお前は、あいつとは違うよ」


「そんなの、玲汰先生だって夏希とは違うよ?」


 気づけば、あたし達は隣に並ぶようにソファに座っていて、穏やかな会話をしていた。




「……確かに俺らは正反対の関係だけど、俺、お前はあんまり嫌いになれない。」


「あたしも。むしろ、なんかそういう過去とか関係なく、近いなにかを感じるなぁ」


「……なんなんだろうな、俺らって」



 それまで穏やかな会話を続けていたあたし達だけど、玲汰先生の言葉であたし達の間に静かな沈黙が流れる。



「……ねえ、いつかあたし達、この状況から変わったりするのかなぁ?」


「分かんねぇな。でも、どうやったら変われるんだろう……」


「……もう、無理なのかな」



 この世界はやっぱり。

 美しくなんかできていなくて。


 幸せはやっぱり。

 不幸の序章でしかなくて。


 綺麗な感情よりも醜く悲しい感情の方が多いのが、人間で。


 どうやったらこの悲しい現実から、変われるのだろうか。