玲汰先生の驚いたような声が聞こえる。


 しまった。

 そう思った時には、もう遅く。


 諦めて、あたしは写真を見た時のことを話す。

「この前、プリントの中に挟んである写真を見て……」


「……あ、そうだったんだ」


「ごめんなさい……」



 あたしは玲汰先生の服をギュッと掴んだ。


 玲汰先生は戸惑ったような声を出した後、

「いや、別にいいけど………そっか、知ってたんだ。」


「でも、どういう関係かとかは全然……」


「うん……そうだよ、その写真の女」



 玲汰先生は、少し悲しそうに言った。


 写真では、二人とも微笑んでいて。

 幸せなのが窺えたのに。



「俺、まだあいつのこと……もう、好きではないんだけど、でも……」



 玲汰先生はそう言いながら、そっと腕に込める力を緩めた。


 あたしは玲汰先生からゆっくりと離れ、改めて玲汰先生の顔を見つめる。

 悲しそうに、あたしから目を逸らしていた。



「……分かったよ、玲汰先生」


「えっ?」


 玲汰先生は唐突なあたしの言葉に驚いてか、逸らしていた目をあたしに向けた。