その言葉を聞いた時、玲汰先生はどう思ったのだろうか。



「驚いた。そいつは春生まれだったし、もう16歳で。結婚は……できる年齢なんだけど。でも、俺の彼女で。どういうことか、問いただしたんだ」




 悲しかった?

 苦しかった?


 っていうかその前に、訳が分からなかったよね。



「……それは、親父から俺への暴力が終わった時にはもう、始まっていたんだ。俺への暴力を止める条件にあいつは、親父と付き合うっていう約束をしたらしい。だから、親父とはその頃からもう出来ていたんだ」


 驚いた?

 納得は、しなかったよね?




「……だけどあいつは優しいヤツだから。俺からの告白も、断れなかったんだな。……俺と付き合ったのは、あいつの、幼馴染としての、優しさだった、んだ」




 好きなのに。

 想っているのに。


 それは、届かなくて。



「……あいつは最初、無理矢理親父と付き合ってたんだけど、徐々に惹かれていったらしい。だから、子供が出来た時も……うれ、しかった、って」


「こ、ども……?」


 さらっと出てきた単語に驚いてつい、あたしは聞き返してしまった。



「ああ。親父と、そいつの子供。だから、二人は結婚するって」