涙は頬を伝い、やがて玲汰先生の肩に滲みていく。
あたしの視界には、ぼやけた室内が映っている。
少し落ち着いたあたしは、ただ呆然としながら、両親の言葉を、目を、思い出した。
「だからね、恨まれるのは、あた、りまえだって思う……だけど今日は、違った」
「違った?」
「うん……ずっと夏希のことを想っているあたしを、心配してた……夏希を、殺した、のは、あた、しじゃないって……それで」
息が、詰まる。
どの言葉よりも、聞きたくない言葉。
「あの日、と同じ……大好き、って言って、た」
落ち着いていた息が、また上がっていく。
怖くて身体が、また震え出す。
「最低っ、だよね!……あたしは、最っっ低な人間なのに……きっと、あれは、あたしのみにく、い願いで……」
夏希にそう思ってもらいたい……
きっと意気地なしのあたしが、心の奥底で願っていたことなんだと思う。
「もう、嫌だ……いつまで、あたし、こ、んな風に、生きな、きゃダメなの……うぅ、あっ、わ、あぁぁぁぁぁぁぁ!………ヒック」
苦しくて。
辛くて。
逃げたくて。
それでもどうにもならない現実が、怖くて、嫌で。
この世界は、どうしてこんなに悲しいのだろう。


