午前3時、先生のカオ。








 涙は頬を伝い、やがて玲汰先生の肩に滲みていく。

 あたしの視界には、ぼやけた室内が映っている。


 少し落ち着いたあたしは、ただ呆然としながら、両親の言葉を、目を、思い出した。




「だからね、恨まれるのは、あた、りまえだって思う……だけど今日は、違った」


「違った?」


「うん……ずっと夏希のことを想っているあたしを、心配してた……夏希を、殺した、のは、あた、しじゃないって……それで」



 息が、詰まる。

 どの言葉よりも、聞きたくない言葉。



「あの日、と同じ……大好き、って言って、た」



 落ち着いていた息が、また上がっていく。

 怖くて身体が、また震え出す。



「最低っ、だよね!……あたしは、最っっ低な人間なのに……きっと、あれは、あたしのみにく、い願いで……」


 夏希にそう思ってもらいたい……

 きっと意気地なしのあたしが、心の奥底で願っていたことなんだと思う。



「もう、嫌だ……いつまで、あたし、こ、んな風に、生きな、きゃダメなの……うぅ、あっ、わ、あぁぁぁぁぁぁぁ!………ヒック」




 苦しくて。

 辛くて。

 逃げたくて。


 それでもどうにもならない現実が、怖くて、嫌で。


 この世界は、どうしてこんなに悲しいのだろう。