玲汰先生は、まるで赤ん坊をあやすかのようにそう言ってあたしの頭をポンポンッと撫でた。
あたしは、といえば。
嗚咽も酷いし、涙もいっぱい流れている。
だけど、どんな感情も溢れ出てくる想いには敵わない。
「大切な、ひと、だったんだ、って……」
「……っ」
「なんでだろうね……大切なものに、どうして人は、失くさ、ないと気付けないんだろう……」
いつも、いつだって。
気づいた時には、もう遅い。
本当に大切なものは、いつだって。
失くさないとその価値には気付けない。
「何度も、後悔した……あの時、あんな、こと、言わな、きゃ良かったって……っ!でも、何回後悔しても、どれだけ、想っても……もう、手遅れなんだ……っ」
今、一番会いたい人がいる。
そして、その人に何よりも言いたい言葉がある。
だけど、それは決して叶わぬ願い。
「お母さん達にも、言われたの。最低、だって。あ、たしは、要らないって。あたしが、夏希をこ、ろしたって……っ」
「…………。」
「でも、本当にその通り。あたしが、殺したのっ……」


