午前3時、先生のカオ。










「そう言って、夏希は……」


 あたしは息を呑む。







「……飛び、降りたのっ」


 ずっとずっとあたしが抱えていた、大きな爆弾。

 その爆弾に悲鳴を上げているあたしの心が、今やっと、助けを呼んだ。



「えっ……」


 流石の玲汰先生も、このことには驚いたようだった。




「あたしの部屋の、ベランダから。丁度お母さんが帰ってきて……少し、目を離した、だけで」



 そう、それは本当に一瞬の出来事だった。

 だけど、その一瞬は、何よりも尊くて何にも変え難いものだったんだ。





「……全て、あたしのせ、いなのっ」


「え、ちょっと待って。その……お前の妹の夏希って子は、今……」


「……うん、死んだよ」


 妙に落ち着いて出した言葉は、話にもっと現実味を増させる。




「……そ、うなんだ。あ、ごめん。話戻して」


 覗き込むように玲汰先生の顔を見上げると、玲汰先生は驚きつつも納得してそう言った。



「……夏希がいなくなって、ようやく気付いたの。誰よりも、夏希のことがっ……うぅぅ」


「……うん、大丈夫」