「勝手に、むか、ついて。だから、あ、たし……」
今から言おうとしていること。
これを言ったら、引かれるかもしれない。
怖い。
怖くて怖くて仕方ない。
だけど、言わなくてはいけない言葉なんだ。
これ以上、逃げていたくない。
「夏希の、首を、し、めたのっ……」
一生懸命絞り出すように言った言葉に、玲汰先生は驚いたりしなかった。
何も口に出さなかったけれど、あたしを包む腕、温もりは全く変わらなくて。
それが、玲汰先生の優しさなのだと思った。
そのことに少し安心しながら、話を続ける。
「……あたしは、なつ、きに、暴言を、浴びせ、続け、たのっ……夏希を、いっぱいいっぱい傷つけた……」
「うん……」
「夏希の首を絞めた、手を、離しても……同じだった。きっ、と夏希は、悲し、かった、だろうな……でもね、あたしの、ことを……ヒック…最低な、あたしをっ……」
嗚咽が止まらなくて、だけど一度溢れ出した想いも止まらなくて。
「大好き、だってっ……だいす、きって」
夏希は何故、あたしを嫌わなかったのだろうか?
〝最低〟って一言言ってくれたら、あたしだって少しは楽だったのに……。


