午前3時、先生のカオ。






 声がまた、震える。

 鼻の奥がツンとして、涙腺がつい、緩んだ。




「……は?どういうこと?」


 玲汰先生は心底不思議だと言うかのような顔を見せる。


 夏希のことを何も知らない玲汰先生にはきっと、あたしの言っていることの意味が分からないんだろう。





 ふとあたしの脳裏に過る、ある想い。


 ……もう、玲汰先生に打ち明けていいのではないだろうか。

 玲汰先生に、夏希のことを話していいのではないだろうか。


 だって、こんなに我が儘で自分勝手なあたしなのに。

 いつも、いつだって、見放さなかった玲汰先生だから。



 打ち明けた時どんな反応をされるかは、想像するだけで怖いけれど。

 誰かに打ち明けるのも、あたしにとって必要なことなのかもしれない。





「……もう、昔のことなんだけど」


 あたしは中2の頃の話を、玲汰先生に語りだす。

 玲汰先生も、あたしが今から話そうとすることを悟ったのか、「ああ……」少し遠い目をした。






「あたしにはね、夏希っていう双子の妹がいたの」


「……うん」


「すっごい美人で、天然で明るくて。学校の、人気者だったの」


「ああ」


「……これだけで玲汰先生も分かるだろうけど、あたしとは、正反対。……あたしはね、そんな夏希のことが大嫌いだった」



 思わず、手が震えた。


 思い出すだけで、胸がきゅうっと締め付けられるように痛む。