声がまた、震える。
鼻の奥がツンとして、涙腺がつい、緩んだ。
「……は?どういうこと?」
玲汰先生は心底不思議だと言うかのような顔を見せる。
夏希のことを何も知らない玲汰先生にはきっと、あたしの言っていることの意味が分からないんだろう。
ふとあたしの脳裏に過る、ある想い。
……もう、玲汰先生に打ち明けていいのではないだろうか。
玲汰先生に、夏希のことを話していいのではないだろうか。
だって、こんなに我が儘で自分勝手なあたしなのに。
いつも、いつだって、見放さなかった玲汰先生だから。
打ち明けた時どんな反応をされるかは、想像するだけで怖いけれど。
誰かに打ち明けるのも、あたしにとって必要なことなのかもしれない。
「……もう、昔のことなんだけど」
あたしは中2の頃の話を、玲汰先生に語りだす。
玲汰先生も、あたしが今から話そうとすることを悟ったのか、「ああ……」少し遠い目をした。
「あたしにはね、夏希っていう双子の妹がいたの」
「……うん」
「すっごい美人で、天然で明るくて。学校の、人気者だったの」
「ああ」
「……これだけで玲汰先生も分かるだろうけど、あたしとは、正反対。……あたしはね、そんな夏希のことが大嫌いだった」
思わず、手が震えた。
思い出すだけで、胸がきゅうっと締め付けられるように痛む。


