玲汰先生はそう、話を切り出した。
リビングには季節的に少し早いと思うけど暖房が効いていて、玲汰先生がこれ以上冷えることがないと、少し安心する。
だからか、あたしは意外と簡単に話し出せた。
「……夢を、見たの」
「夢?……まさか、また?」
「うん……夏希の、夢」
玲汰先生はあたしをじっと見つめて、あたしの話を聞く体勢に入る。
「でも、今日のはこの前とは違って」
「うん」
「あたしのことをね、すごく心配していたの」
「………?ああ」
玲汰先生はその情景が思い浮かばないのか首を傾げながらも、必死に話を聞いてくれている。
あたしは少しだけ目線を下げた。
「……この前は恨んでたの。でも、今回は正反対で」
「う、ん……」
「あたしのこと、大好きって……言ってた」
「……だったら、よくね?」
玲汰先生はあたしが泣いていた理由を聞くと、不思議そうに言った。
「……あたしはね、夏希に〝大好き〟って言ってもらえるような、人間じゃない、の」


