午前3時、先生のカオ。
















~千夏side~




 玲汰先生の家に着いて、あたしはあることに気付く。


 鍵を、忘れた。



 涙を流し、頭の中は混乱していて。

 ただ、お母さんの言葉に傷ついていて。


 そんな状態なのに、いや、そんな状態だからこそだろうか。

 鍵がないと分かった瞬間、あたしは反射的に玲汰先生の家のインターホンを押した。



 走ってきたから、肩は上下に揺れ、息も上がっている。

 そして、涙でぐしょぐしょの顔。


 こんなあたしを見られるのは少し恥ずかしいけど、もうそんなこと言ってられない。

 それくらい、あたしの心は追い詰められていて。



 玲汰先生は、誰が来たのかを確認しない人なのか。

 少し待っていると、いきなりドアが開いた。


 その瞬間、あたしは顔をバッと上げる。








「はーい………って、え?」


 玲汰先生の驚いたような声が頭上から聴こえる。


 玲汰先生が驚くのも、無理はないと思う。








 だってあたしは、

 玲汰先生に抱きついているのだから。